artzone artzone



◆ 第2回 3Dデジタルモデリング ◆
さて、決意表明もほどほどに、とにかく着手していかなくてはいけないということで、
大掛かりな設備等、物理的なものの搬入に関しては後に回すとして、
まずは原型製作における手法の選択と構築です。

もはや語るるに足らずとは思いますが、昨今巷を騒がしている3Dプリンター様、
初めて認知したのがおよそ5年ほど前、その時の衝撃たるやなかったです。
何人かの知人から電話を受け、「すげーの出たな、お前の仕事無くなるぞw」
などとからかわれたりもしましたが、確かに、こんなとんでもないものが
今後さらに精度を高められた日には、造形分野におけるアナログの価値が
薄れていってしまうのでは?と、にわかに脅威を感じたりもしました。
しかし、どの時代においても、各分野における新鋭技術の登場は
常に繰り返されてきたことであり、この3Dプリンターというものにしても
そのパイオニアを担うであろう一要素と真に受け止め、その脅威に追われるのではなく、
自分の関われる形で、これをどう利用できるのかと考えるべきだと思いました。

ああ、やりたい、すぐやりたい。
認知させられてからというもの、頭の中ではその葛藤がずーっとありました。
しかし、仕事の成り行き上、なかなかシフトできるタイミングもなく
3Dプリンターとそれを取り巻く環境の躍進を指をくわえて見ているだけの日々。
と、ある日、あるコミュニティー上でお声をかけていただいた先駆者の方が、
「やってごらんなさいよ、あなたならきっといいものを造り出すでしょうよ」
と言っていただき、ああ、もうやっちゃおうと妙にすんなりと踏ん切りがついたような気がしました。

で、その方からの情報は基より、自分自身でも具体的な手法を積極的に探し始めました。
原型製作における3Dプリンターの利用は、原型のための基型や各部位のプロトサンプルの作成です。
あくまで自分で構築したデータが存在していないことには何も始まりません。
では、そのデータをどうやって作るのかということですが。


『Zbrush』このソフトと出会うのに時間はかかりませんでした。

まー、このソフトの凄いこと。これまでの3D関連のソウトウェアとは一線を画す代物とのことで、
それらに携わる人達にとってはもはや必須のアイテムだと知らされました。
もう知っている方がほとんどでしょうが、このソフトの優れている点は、
xyz軸の概念とポリゴン生成を計算して3Dコンテンツを製作するという
従来までの煩わしさを伏せ、あくまで直感的にデジタル上での3Dコンテンツ制作が
行えるようにと配慮して開発されたソフトであるという点です。
解り易くいうと、骨組みを計算して、点と点の距離や湾曲具合を計算して
などというCAD特有のお堅いアプローチではなく。
まるで、画面上で粘土細工をこなすかのように、自分のイメージしたものを
そのままデータ上で掘り込んだり盛ったりしながら
想いのままに3Dコンテツを作り上げることができるというわけです。

原型製作といえば、目指す造形を粘土やパテをこねてコツコツと
造り出すスタイルが通常であり、私自身も不足しているパーツや整形を要する時などは
類似する作業を幾度となく行ってきました。
これまで、そういったアナログ作業に慣れてきた原型師の方やモデラーにとって、
アナログとデジタルが融合する接点を見出すことは難しかったはずですが、
どうも、このソフトがその橋渡しを担ってくれそうです。

早速、私も導入し、ともかくいじってみました。
基本的な操作方を習得後、簡単なスカルプト(削盛作業)をしてみてすぐに解かりました。
これは本当に、手で粘土をいじっているかのような感覚に近いものがあるなと。
ここを膨らませたい、ここをへコませたい、ここを尖らせたいなど、
まさに直感的に画面上の物体が、ほぼ思うままに変形してくれました。

お遊びで簡単なスカルプト↑

まだまだこれは、ほんの入り口のいの字にも至っていないでしょう。
このソフトの可能性は計り知れないと思います。

とにかく触り、知り、慣れて、もっとサクサク扱えるようになりたいですわ。
また、データの製作スキルアップと平行して、3Dプリンターの特性や
周辺機器の知識も深めていかなくてはいけないし、出来上がった原型を
上質に複製するための方法論も再度足固めしていかなくてはいけまんせん。
やってくべきことは山ほどあるけど・・・まあ、焦らず怯まず挑んでいきます。

それでは、原型のための原案なんかも構想しながら、少し小慣れてきた頃にまた追記します。

記事掲載日時:2014/05/17
BACK|NEXT


artzone artzone